お目元の切開やお鼻の施術をした患者様は、術後に傷跡がなかなか治らず心配される方が多いと思います。
実際、患者様から「手術後の傷を早く治す方法はありますか?」「綺麗に治すにはどうすれば良いですか?」という質問をいただくことも多いです。
今回は切開を伴う手術で皆様が悩みがちな術後の傷跡について、正しいケアをご紹介させていただきます。
■手術後の傷の状態
手術の後の傷は手術の種類にもよりますが、一般的に6ヶ月~1年かけてきれいになり、目立たなくなっていきます。それまでの間は、傷の赤みや盛り上がりや硬さがあることがありますが、徐々に目立たなくなっていきます。
傷の治癒後、半年から一年くらいまでの傷跡は、「未成熟瘢痕(みせいじゅくはんこん)」と言われます。まだ皮膚には赤みや硬さが残っている状態です。
この未成熟瘢痕である時期のケアが1番大切であると言われています。
皮膚に傷が付くと皮膚の下の層ではコラーゲンの増殖が起こり、そのコラーゲンを基に傷の修復が行われます。そのため傷跡の部分はほとんどコラーゲン繊維で、周囲の正常な皮膚とは組織が異なることから、皮膚と傷部分の質感の差が傷跡として残ります。傷が完全に治ってもその違いは残るので、傷跡自体が消えてなくなるということはありません。しかし時間の経過とともに赤みや硬さが取れ、元の肌の色に近い白くて柔らかい「成熟瘢痕(せいじゅくはんこん)」へ変化していきます。
■大切な3つのケアポイント
・保湿
適度な湿度を保ち、皮膚の修復力を高めます。傷の治療に効果的ですが、傷が塞がった後も保湿を続けることが大切です。
傷跡が乾燥してしまうと、痒みや痛みが出てくるほか、赤みがいつまでも残ってしまうため、しっかり保湿を行いましょう。
・紫外線対策
傷跡は、紫外線に当たると色素沈着を起こしてしまいます。色素沈着を起こすと傷跡が茶色くなってなかなか治らないため、まずは色素沈着を予防することが重要です。傷の治癒後、最低3か月~半年程度は、日焼け止めや遮光性のテープなどでしっかり紫外線対策を行いましょう。
・保護
未成熟な傷跡は、擦れたり掻いたりすると、再び傷が付いてしまうことがあります。摩擦などの強い刺激から守るため、テーピングなどで傷跡をしっかり保護しておくことが大切です。
■簡単に手に入るケアアイテム
・テープ
傷跡の上から貼ることで傷を隠すことができ、紫外線の防止効果もあります。
また、傷跡はさまざまな方向に引っ張られると、広がって治りが悪くなります。そのため手術や傷の縫合をした後の傷はテープで固定してあげるといいでしょう。
ただし、テープを貼ったり剥がしたりする際の刺激が強いため、何度も貼り直すことは禁物です。また水で濡らしながらゆっくりテープを剥がすなど、優しく丁寧に取り扱いましょう。
・ワセリン
未成熟瘢痕にとって1番効果的なのは傷跡の保湿です。また、顔や体どこでも使用できるのが大きいメリットです。強い緊張がかかりにくい顔などの傷跡はワセリンによる保湿ケアが適しています。ただし、紫外線防止効果がないため外出の際は必ず日焼け止めを使用する必要があります。
ご紹介した2つのケアアイテムはどこの薬局でも置いてあります。お値段もお手頃なものが多いので、ぜひご活用下さい。
また、ケアは毎日続けることが大切です。毎日忘れずに行うことは難しいかもしれません。ですが数分でできるケアが綺麗な肌へと繋がる一歩になります。毎日頑張って続けていきましょう!