今やSNSやメディアでも取り上げられ、多くの方が知っている『顔の黄金比』。
ヒトが最も美しいと感じる比率を黄金比率とよび、その比率をお顔に適用したものが顔の黄金比と言われています。
SNSが広がる昨今、『美しい人』や『可愛い人』を目にする頻度も格段にあがりました。その為、今では成人に満たない若い方も黄金比に沿った『美しさ』や『可愛さ』を目指して、そこに至る手段として美容クリニックにいらっしゃいます。
もちろん、ご自身が納得できる『美』を手に入れることで自信がついたり人生が変わったりと前向きな変化も多い美容医療なのですが、中には『完璧な美しさ』を追求するあまり心を病んでしまう方も少なくありません。
そこで今回は黄金比が美しさに対してどこまで大切なのかを解説していきたいと思います。
お顔の黄金比は細かい
お顔の黄金比率は、目や鼻、口などのパーツごとにその配置バランスが異なります。
その為、お顔の黄金比をすべて表記するとかなり細かいのです。
有名なのはこちら。
黄金比マスクと呼ばれており、このマスクのお顔が黄金比となります。アプリなどでもご自身のお顔や芸能人の写真などを取り込んで、黄金比とのバランスの差を確認することができます。美しいと言われている黄金比ですが、このすべての比率に完璧に合わせることは、もともとのパーツがかなり整っていない限りはほぼ不可能といえます。
ただ、『美しさ』だけで見るなら黄金比に近づけることはお顔を整える上で良い指標にはなります。メスを入れたりすることが怖いという方が大半かと思いますので、そういった方は外科手術だけでなくヒアルロン酸注入やメイクなどでも黄金比に近づけるための微調整は可能です。
メイクで調整できる黄金比
たとえばこちらのイラスト。
一見可愛く見えますが、それを『黄金比』に当てはめると少しバランスが悪いことが分かります。本来黄金比であれば額から眉、眉から鼻下、鼻下から顎先まですべて『1：1：1』であることが美しいとされているからです。
この場合黄金比に近づけるためには眉毛の位置を少し下に下げることで改善できます。
目の位置や口の位置など、パーツそのものの場所は移動できませんから、メイクなどで改善可能な部位で調整していきます。
こちらが黄金比の『1：1：1』に当てはめたバランス。
目や口の位置は変わっていませんが、眉の位置が下に下がったことでバランスを調整しました。少し大人っぽい印象になります。
続いて目の位置のバランス。
黄金比のバランスではすべて『1：1：1』が美しいとされていますが、イラストではやや離れ目と言えます。メイクで調整するのであれば、目頭切開ラインや目頭のハイライト、アイシャドウなどで微調整できます。外科手術をするのであれば目頭切開でしょうか。
そしてこちらが少し目頭を内側に寄せ、バランスを黄金比の『1：1：1』にしたものです。これだけ見るとどこが変わったのか分かりづらいのですが、比べて見ると結構違います。
こう見ると黄金比のバランスはかわいらしいお顔というよりは美人顔であることがわかりますね。少々雰囲気が大人っぽくなります。
これだけで見ると決して『黄金比だからいい』というわけではないとお分かりになるのではないでしょうか。正直、個人の好みの問題の範囲なのかなと感じます。
もちろん、これはある程度バランスが整っていて微調整できる範囲の問題です。
お悩みやお顔のバランスは人それぞれですから、微調整ではどうしようもないと感じて美容整形に踏み切る患者様もたくさんいらっしゃいます。
先ほども申し上げたように、目や鼻、口などのパーツそのものの位置を変えることはできません。ですから、位置を変えるのではなく目が大きく見えるようにする、唇のボリュームを足して口の位置が上に見えるようにする、鼻先を伸ばして人中を短く見せるなどして整えていくのです。時にはお顔の骨を切ることで余白を減らしてお顔全体のバランスを整えることもあります。
しかしながら、それらをすべて黄金比のバランスにこだわって調整するのはおすすめできません。リスクや費用がかかるのもそうですが、何かひとつの美の基準に囚われることでその方本来の美しさを損なってしまうからです。
これは黄金比だけにいえることではなく、たとえば理想の芸能人やインフルエンサーのお顔をそのまま真似しても、完璧に同じ顔にすることはできませんし、そもそも憧れの方のパーツがあなたに似合うとは限りません。
ご自身がもともと持っているパーツやバランスを最大限活かして施術することが、結果的には最小限の施術で済むのです。
一度切った骨や皮膚は、100％元に戻すことは絶対にできません。
今お顔にお悩みを抱えている方は、いま一度ご自身の理想の在り方や目指すものを考え直してみてください。
ひとつのパーツにこだわりすぎずお顔全体のバランスを見れていますか？
憧れの人のパーツに完璧に近づこうとしていませんか？
とくに美容整形は、ミリ単位の細かなこだわりを妥協せず突き詰めていくことで沼に陥りやすいのです。ご自身が自信をもって生きていくために、妥協をゆるせない気持ちも分かりますが、そのこだわりを捨てきれないことで生き苦しくなってしまうこともあります。
どこにこだわり、どこに妥協するのか。
これから美容整形を考えている方は、執刀する医師としっかりとすり合わせをしていきましょう。
